コンサルタントという職業

テレビで ある上場企業の女性社長が特集されていた。彼女は 経営コンサルタントだ。裕福な家庭に生まれたが、父親の経営する会社が倒産・・・大学進学を諦めざるを得なかった。社会に出ても高卒だからと就職先はなく、早くに結婚したが ほどなく破局。結局実力だけが勝負の経営コンサルタント会社へ就職する。そこで努力を重ねて頭角を現した彼女は、多くの企業からヘッドハンティングにあうまでに成長する。不動産会社など さまざまな経営にたずさわった後、現企業の取締役営業部長に就任、現在は代表取締役になっている。

彼女の経歴を聞くと、コンサルタントという職業がどういうものか よく理解できると思う。彼女は またキャリアアップできる面白いものを見つければ、転職も辞さず、やりたい方向へむけて邁進していくに違いない。筆者も以前は上場企業を含む10数社の代表や取締役をやっていた。非常勤の顧問先も含めれば、その数は数百社になる。元々はサラリーマンから経営者、大手コンサルタント企業へ。そしてフリーランスとして独立。というコースを歩んできたわけだが、経験からすれば、グループ企業を何百社も抱える数兆円企業の代表取締役と遜色ないはずだ。いや 業種や産業が多岐にわたるぶん かえって豊富かもしれないとさえ思う。

ただ、両者で大きく異なるのは所有するものが何もないという点だ。思うところがあり、10年ほど前にオーナーや経営者からはすべて退いたし、数年前には顧問先さえも全部降りてしまった。コンサルタントでなければ、こんなことはとてもできなかった。所有するものが多ければ、それだけ しがらみや執着も大きくなってしまうものだ。しかるに 経済や経営をもっと深く知りたければ、経営者よりコンサルタントのほうがお勧めである。なにせ、経営するのに、資金や事業所はいらないし雇用の必要もない。ゆえに好きなときにいつでも区切りをつけて次へいけるというわけだ。多種多様で興味深い人生を過ごすのに、これ以上の職業はないだろう。要するにコンサルタントとは、現代社会には珍しく、身ひとつで真に自立した独立独歩のスタンスをとれる稀有な職種なのである。