ものづくり産業の行く末

ソニーやパナソニックが、相次いでテレビ事業からの撤退・縮小を表明したのは記憶に新しい。四半期決算でも、家電メーカーの赤字は顕著だ。これは韓国・台湾などの台頭によって価格競争が激化したからだ!とされているが、じつはそうではない。他の国のテレビ事業も けして採算が取れているわけではないからだ。また 円高や貿易不均衡・金融不安・消費落ち込みと、相変わらず メディアはステレオタイプの要因ばかり並べているが、これもまったくの的外れであろう。

本当の原因は「大企業と品質が同等のテレビが工場を持たなくても、もっと安価で作れる」ようになってきたからである。流通が変化して、世界規模での生産ネットワークが整備された今、重要な基盤さえしっかり設計できる技術さえあれば、その他のものは すべて海外で外注して作らせることが出来るというわけだ。つまり、ITなど他分野の業態が続々家電産業へと進出してきたのである。元々身軽で設計部門しか持たない会社と、大きな所帯と雇用を抱え 設計から最終組み立てまで行う大企業では、価格コストに差が出るのは当然である。よって 末端価格は下がり続け、やがて採算があわなくなってくるのも時間の問題だった。

では、その他の白もの家電はどうだろう?それも同じではなかろうか。しかるに、やはり家電製造大手の未来は いかにも厳しいと言わざるを得ない。けれど、これは自動車業界にもあてはまる。電気自動車は、ガソリン車ほど その部品や生産工程が複雑ではない。徐々に異分野の参入が顕著になりつつある。こう考えていくと、ものづくり大国と称される この国の方針にも、大幅な方向転換が余儀なくされるのは明らかだ。米国では、旧態を捨てた新しい発想による TVとPCの未来を変えるプロジェクトが着々と進んでいる。今後の指針を見極めるためにも、Google TVやアップルTVの動向には注目すべきだろう。