大坂維新の会「船中八策」に共感する

大坂維新の会「船中八策」が公表された。個人的には全面的に賛同できる内容である。その理由は最初に【自立できる社会】を掲げているからだ。もちろん、首相公選制・参議院の廃止にも賛成だが、最も重要なのは【その目的】であろう。『目的さえぶれなければ』その他のことは臨機応変に変えてもかまわないと思われるが、世間と同じく、政界からの反応もさまざまである。自民・民主・公明各党は、早速 懸念を表明。石原都知事は大賛成。みんなの党は我が党と同じと言う。しかし、やはり どれも本質をつかみ取れていない印象が拭えない。いずれも橋下氏のことが理解できず、根底から的が外れてる感じがする。何事につけても、まず相手を把握しなければ、自分の器に准じた思い込みが生じてくるものだ。

その骨子については、橋下氏の生い立ちにヒントがあるだろう。早くに離婚した両親のうち、暴力団員の父は小学2年の時に他界し、母親の手ひとつで同和地区も含めた地域で貧しい生活を強いられた。中学の時には かなり悪さもしたらしく補導もされてるそうだが、彼はその後、大阪府内屈指の名門校に進学している。つまり、社会的底辺の理不尽さとお坊ちゃん・お穣ちゃんが集る生ぬるい環境の両極端を体験したので、その両方が理解できるというわけだ。哲学的中道の観点からもこの経験は大きい。

その後 一年の浪人生活を経て、早大の政経学部経済学科に入学。東京の六畳一間、風呂無し、トイレ共同のアパートで、後に妻となる高校の同級生と同棲を始め、学生でありながら革ジャンの卸売などのアパレル事業をしていたが、その際に不渡り手形をつかまされ転落。これを機に法律を勉強し弁護士になったとされる。98年 大阪市内に「橋下綜合法律事務所」を設立。示談交渉による解決を看板にしていたが、最初の頃は飛び込み営業も積極的に行い顧客を集めていたそうだ。ここからも、なりふりかまわない現実主義が見て取れる。

やがて 企業コンプライアンス、M&A、エンターテイメント法、スポーツビジネスなどに業務を拡大、年間400〜500件の案件を手がける法律事務所に成長させると、テレビのコメンテーターへ転身。のちに事務所を法人化して別の弁護士に運営を任せて、自身は政界へ打って出たのである。彼の人生で一貫しているのは、目的のために知恵を絞り、即座に行動し、計画通りに事を運ぶという点である。一般的な執着は何もないから、他からは彼の生き方は理解されないだろう。弁護士事務所を切り離したのも、大欲のための無欲からだが、世間には政治家になって目立ちたいと受け取られるのが関の山である。また、彼のブレーンには、堺屋太一氏や大前健一氏がいて「経済は社会のあり方」という経営観念もしっかりしている。こういった経済人の新自由主義的な考え方も、彼の生き様に合致していたのだろう。

この一連の経歴をみるにつけ、内容こそ違えど、その経験の種別は筆者にとてもよく似ていると思わざるを得ない。よって当然ながら、目指すところも似てくる。要するに【こういう経験をした人間の目的は自立になって当たり前】ということだ。今の政界にいるのは石原知事も含めて たいていお坊ちゃんである。ゆえにその生い立ちから、話し合えばわかると頑なに信じてやまない傾向がある。要するに、独立独歩、一人で生きたことがないから現実が見えていないし、いかにも甘いのである。それでは何も出来はしないだろう。自立した社会とは「国の自立・地方の自立・国民の自立」だ。この目的に従えば、すべての意味は自ずと変化してくるに違いない。それは保護でも容認でもなく、国や地域の諸事情や個人の境遇・気持ちなど一切関係ないところにある。「システムとは自立を支援するためにこそある」そう彼の人生は物語っている。自らの足で実践を重ねてきた者にあるべき論の理屈など通用しない。やがて社会福祉の意味合いも保護ではなく「自立支援」へと変わっていくのだろう。