森ビル会長の森稔氏 他界 

また一人、日本の巨星がこの世を去った。東京六本木の「六本木ヒルズ」 赤坂の「アークヒルズ」 中国・上海の「上海環球金融中心」を作ったことで有名な 都市開発の哲人 森ビル会長の森稔氏が 昨日77歳で亡くなったのだ。「前例は自分たちが作る」「未知の領域への挑戦こそ、森ビルの存在理由」この言葉どおり、氏の人生は まさにイノベーションと挑戦の連続であったように思う。

信条は【地権者への粘り強い説得】だ。自ら足を運び、一物件に何十年もの歳月をかけながら数々の大規模都市計画を実行してきた。低層の町並みを計画的に超高層施設群に造り替えるその手法は「垂直の庭園都市」「逃げ出す街から逃げ込む街へ」とも称され、地下に大規模発電所を設ける・周辺の街全体における防災機能を一手に担う・耐震性能をできる限り高めるなど、そこには有事の際に「電気・水・食料・安全を確保できてこそ未来型都市と言える」といった強い信念が垣間見える。実際、東日本大震災の際には、この哲学が見事に証明された形だ。

森氏は常々 都市機能で世界のライバル都市に東京が後れを取っていることに強い危機感を表明していた。これは本来 政治家が持つべき信念であり、行政が行う仕事であろう。都市開発の哲人 黒川紀章氏や森稔氏なき後、彼らの描いた未来を誰が引き継ぐのか? みんな小粒すぎて、彼らのように卓越した知性や強烈な個性をあわせ持つ人物がどこにも見当たらない。それにしても、どこの局のニュースも芸能人の婚約がトップで 森氏の話題はまったく伝わってこない。いったい この国の価値観はどうなっているのか?と怒りさえ覚える。親睦のあった尊敬できる人物が 次々この世を去り、寂しさが募るばかりである。