コンプリートガチャというマーケット

ソーシャル・ゲーム大手のグリー、サイバーエージェントディー・エヌ・エードワンゴ、ミクシィが「コンプリートガチャ」と呼ばれる商品の取り扱いを全て中止すると連名で発表した。「コンプリートガチャ」とは、複数のカードをそろえる事でゲーム内では希少価値の高いアイテムが入手できる仕組みの商品のことをいう。ルールで指定される組み合わせを揃えるために何度も挑戦しなければならなかったり、中には出現自体が稀なカードもあるので、その性質にはギャンブル性が強くあるとされていて、以前より高額課金の温床と問題視されていた。

このニュースをみて、昔 一世を風靡したゲーム制作会社のコンサルティングを依頼された当時を思い出した。初日に会議へ出席した時点で「この会社は長くないな」と感じたのだ。まず【世間に面白さを提供する】という理念がよくない。企業を立ち上げるなんて、きわめて個人事だから世間など何の関係もないはずだ。べつの ある飲食店チェーンの社長は言った「会社なんて 最初は金がほしくて立ち上げた。でも いつのまにか大きくなってしまった。いつかは縮小の時が来る。それまでにせめて社員たちが独り立ちできるように何かしてあげたい。」この正直さに感銘して 社員教育を引き受けた経緯がある。嘘で経営を行うなら、すべてが嘘になる。しかし、そんな虚像はいつか破たんする。ゆえに初めから あからさまな姿勢でいったほうがよいだろう。

正直なところ、自己顕示欲で企業を立ち上げ、ずっとそのままなら、可及的速やかに 既得権益にまで上り詰めなければ安定など望めない。それが日本社会の普通の会社の命運である。だから、当初は「しょせん自己欲」と割り切って、高尚な考えなど持たないほうが賢明ではないか。よくベンチャーは権力につぶされると聞く。もちろん、そういう側面もあるかもしれないが、全部が事実とは言えない。これはコンサルタントの通常概念でもあるが、淘汰される根本の原因は 経営者が経営を知らないことにあるのだ。

自己顕示という子供の欲求を、ソーシャルなものに置き換えてカモフラージュしてみたところで、子供は子供のままであることに変わりはない。もちろん一部上場企業も その類だから、本当の経営を知りたいなら、世間と見ている方向を180度変えなければならないだろう。もし それができないなら、会社なんて使い捨て。自己の経験の一環と捉えてちょうど良いくらいかもしれない。いずれにしろ、メディアや書籍・webから 真の経営を知る手立てはない。だが それでは時流に翻弄されながら、いずれ消えゆく定めからは逃れられないと思われる。