東京駅の丸の内駅舎がいよいよオープン

いよいよ10月に、長らく工事が続けられていた「東京駅 丸の内駅舎」が 戦前の姿そのままにドーム屋根形状の外観へと蘇る。それと同時に併設する東京ステーションホテルも以前の3倍の規模に拡大され リニューアルオープンするらしい。近年の傾向として、地価が高く利便性が良い土地の再開発では、採算を合わすために、高層化してショッピングモールやオフィスにするのが常識とされている。だが今回 あえて低層3階にして重要文化財の趣を醸し出した その理由とからくりがじつに興味深いのだ。

建築には つねに「建ぺい率と容積率」がつきまとう。これは その土地の広さに対して どれだけの床面積と高さを持つ建物が建てられるか? という法令基準のことである。東京駅周辺は「特例容積率適用区域制度」に認定されていて、他とは異なる特別な制度があり、これによって「丸の内駅舎を低層化することで余った容積率を周辺のビルへ売却移転できる」ようになったというわけ。つまり、JR東日本は、あえて丸の内駅舎を低層に抑えることで、三菱地所が開発した 周辺の丸ビルや東京ビルへ容積率を売却して、そこで得た収益を 丸の内駅舎の建て替え費用に充てたのだ。また、それでもまだ余った容積率は、JR東日本 自らが開発した 八重洲口のグラントウキョウノースタワー、サウスタワーにも転化されている。JR東日本は、丸の内側で“顔”を整える代わりに 八重洲側で“実”を取ったと報道されてるが、まさにそのとおりであろう。

これまで 筆者もいくつか都市開発に関わってきたが、重要なのは利便性や採算だけではない。その目的・・・つまり、効能が最も大切である。医療業界やその他の事業においてもそうだが、性能が高いというだけでは機能性があるとは呼べないのだ。そこに本来の効能があってこその機能性である。街とは そこへ行くだけで、住むだけで 何らかの効果があって当然。暮らしや日常とはそういうものであり、自然もまたしかりだろう。自然発生的な人の流れを作るのは、まさしく暮らしの中そのものに効能があるからに違いない。ゆえに 街とは、効能と性能とバランスを すべて兼ね備えたものでなければならない。東京駅周辺には、昨今のどこへ行っても同じように見える「チェーン店乱立メインの開発」とは一味違う、東京の顔としての効能と機能を期待したい。