負けて勝つ 戦後を創った男・吉田茂

日本の戦後復興に尽力した元首相、吉田茂氏を主人公にしたドラマ「負けて、勝つ〜戦後を創った男・吉田茂」(土曜午後9時、全5話)がNHK総合で放映された。筆者は、彼に直接師事した人物とも親交があるし、吉田氏を演じるのが 好きな俳優のひとり 渡辺謙さんとくれば、否が応でも興味もわこうというもの。食い入るように見入ってしまった。

戦前・戦中・戦後という難しい時代を、外交官。ときには投獄犯。そして政治家・総理・大学総長として過ごした その生き様はすさまじいものだったに違いない。第一回目を見た限り、激情的な性格とは裏腹に、したたかな駆け引きを仕掛けられる知力と胆力を持っていて、情熱と冷静の狭間をつねに揺れ動きながら 迷い、そして決断し、無念と失意の中でも、つねに命がけで行動してきた経緯が描かれていた。そこにはけして歴史に出てくる「リアルさのないスーパーヒーローたち」のような派手さはないが、それゆえ人間的で、じつに事実の香りが漂う重厚な作品に仕上げっていたような気がする。

彼は 日本社会党に政権を奪われた際、熾烈な駆け引きを演じたことでも有名だが、くしくも 今の政権与党は 一部社会党を母体として結成された民主党である。いつの世も 不景気が長く続いたりして、社会情勢が不安定になれば 歴史は繰り返されていくのだろう。維新の会が旋風を巻き起こし、何かと話題の昨今、良い悪いは別にして、こんな時期だからこそ、歴史に思いをはせてみるのも一興ではないだろうか。