解決策を考えるなら まずは その現実を知ってから

今度は 中国ではなく、台湾の漁船団が魚釣島沖の接続水域へ侵入している。これも「中国と関係の深い台湾企業」が指導しての出来事らしいが、ここまであからさまな出来レースばかり仕掛けてこられると本当に困ったものである。また、困った人たちといえば、河野洋平前衆院議長・鳩山由紀夫元首相・田中真紀子元外相・二階俊博元経済産業相などのいわゆる【親中派議員たち】だけでなく、なんと米倉弘昌経団連会長までが、中国共産党政府の要請に応じて、27日に北京を訪れる予定とのこと。一体 何を考えているのか理解に苦しむが、ここまで話をこじれさせた張本人たちが顔をそろえて訪中して、さらにややこしくならなければよいのだが。

最近、政治や外交の話ばかり書いているが、現在 巷で交わされているような会話に出口はないような気がする。重要なのは現実を知ることだからだ。私たちが知る中国は、北京・上海などの大都会、それもその中のほんの一部にすぎない。そんな認識を日本の現状へあてはめて想像しても、それはまったく現実とは異なってしまうわけだ。以前 数年間、仕事でアジア各地をまわったことがある。そこで 観光客やビジネスマンがあまり訪れないような、数日に一度しか交通手段がない場所にもずいぶん出かけたが、そこで見た光景は筆舌に尽くしがたいものだった。日本の常識など微塵も通用しない世界がそこにある。

自動車は一切信号を守らない。もちろん人もだ。滞在中、なぜ ここに横断歩道があり、信号がついているのか不思議だったくらいだ。それが大きな交差点なら、車が止まるのを待っていたら日が暮れてしまうだろう。青信号でも赤信号でも、普通の速度で人が横断すれば、車のほうがそれを予測してよけていくのが当たり前。もし 横断歩道で車が突っ込んできたと立ち止まろうものなら、逆にひかれてしまうリスクが高くなるのだ。くわえて車が反対車線を逆走するなんてのも普通で、にらみ合いをしたまま どちらも動けなくなった運転手同士が喧嘩してる風景もあちこちで見かけられた。また、レストランでは、パウチされて出てきた食器を、さらに自ら手洗い用のボウルで洗わなければ みんな使わないのだが、筆者もそれを勧められた。衛生面ではまったく信用できないのだそうだ。

そして 一番驚いたのは滞在先のホテルである。チェック・インの際には、デポジット名目で宿泊費の三倍の料金を預けさせられる。宿泊客がホテルの備品を根こそぎ持って帰ってしまうためらしい。部屋に入って カーテンを開けると、隣接するビルの屋上はどこも産業廃棄物の山。バスタブや洗面台の他に 配管なんかもぐちゃぐちゃに積み上げられている。その下を歩いていたなんて考えるとぞっとするが、台風や地震がきたら どうするのだろうとわけがわからなくなる。さらに部屋でくつろいでると、ルームサービスと称して大きなワゴンをひいた女性が突然入ってくる。もし 私が部屋にいなければ、そのワゴンの中に荷物はすべて入れられ、行方不明になっていたに違いない。おそらく その従業員はマスターキーを持っていたのだろうが、どうりで あらかじめ部屋のチェーン・ロックが根こそぎ取り外されていたわけだ。そのような行為が日常的に繰り返されていることは想像に難くない。

中国という国は とても広い。言語もいくつか微妙に違うほどに。だから これらをまとめるのは至難の業である。そして、まだまだ教育も社会インフラも途上なのだ。ゆえに地域によって モラルも通念もバラバラ。それらをまずは認識する必要があるだろう。したがって解決策は、ステレオタイプのあるべき論ではないし、常識観念に基づく国際感覚を問うことでもないと思われる。都市部のあり方だけでは決まらないナショナリズムに関しては、やはりきちんと全体に網羅された 高度な教育が絶対不可欠ではないだろうか。女性がビールをついでくれる時、たばこを吸いながらテーブルへ両足を挙げ、空ビンをテーブルの下へ転がしてたことに 同席した日本人は腹を立てていたが、それをまだ失礼な行為だと知らないなら、彼女にまったく罪はないことなのだから。