経済は自然発生的だから、白黒つける必要はない

先日 台湾のホンハイ精密工業の中国子会社(フォックスコン 太原工場)で大規模な騒乱が発生した。従業員2000人がこれに加わり、約40人が負傷する事態が起きている。このホンハイ・・・日本国内では シャープが資本提携交渉を進めていたことでも知られるが、じつは アップル社製品の部品製造なんかも手掛ける世界的大企業なのだ。

ゆえに この事態はもちろん、世界でも大きく報道されてるが、注目すべきは、これに対して 米国が行った対応の冷静さだった。報道によると、騒動の原因は アイフォーン5の人気による「余波」であり、反日とは無関係と断じられている。つまり、米国側は 最近おきている中国の一連の行動を「賃上げや労働環境改善に関する要求」と位置づけ、これらを先進国にありがちな中国の格差問題として捉えたわけである。また、オバマ米大統領は、同時期に 海軍施設の規制空域を理由にして、中国系電力会社が行っているオレゴン州での風力発電プロジェクトを中止するよう命じたが、こういった米国の対応を見ていると、やはり・・・もう そろそろ米国は「中国に対する圧力を徐々に強めながら、中国経済の底を抜く頃合いを見計らっている」ように思えてならない。

世界的な中国離れが加速する背景としては、生産コストの上昇に加えて、国際的信用の欠如、現地法人の安全確保への不備などが挙げられるが、これらが ますます顕在化してくれば、世界が投資を引き上げる理由としては もはや十分になってくるだろう。もちろん今後 改善の余地がみられれば、まだまだ投資先として中国の魅力は大である。しかし、為替の固定化も含めて、依然として 話し合いの門戸さえ開かれない現状もあるし、さらに 力をつけたらつけただけ、安保や国際上のルール順守へも影を落とすとなれば、デメリットが メリットを上回る事態となる。当然、将来を見据えれば、どのあたりで中国への投資体制を方向転換するかについては、もはや世界中が注目するところとなろう。 

筆者も仕事柄「これから中国進出を考えたいが・・・」といった相談をよく受けるが、もし それが製造業なら「もう遅いですよ。機会を逸しましたね。」と答えざるを得ない。中国進出の旬は、15〜20年くらい前。すでに5年ほど前からは 撤退も視野に入れて、次の一手を考える時期に差し掛かっている。なぜなら、いまや 中国は保障大国へと変貌し、進出より撤退が困難な状況に陥っているからだ。もし赤字にでもなり 支払いが滞れば、莫大な補償金がのしかかり、身動きが取れなくなってしまう。ゆえに投資の対象はすでに中国から【他の周辺仏教国】へシフトしていて、中国に関しては もはや生産地より消費地としての位置づけが適切であり、そのスタンスも ビジネスパートナーからお客様へと変わりつつあるというわけだ。

とかく外交や政治は すぐに白黒つけたがるが、そんなことで国際問題が解決されたためしはない。むろん経済は それとはまったく異質である。何もしなくても 自然に流れは出来てくる・・・それが経済だ。もちろん いまだに重商主義経済を懐かしむ経済人や政治家は どの国にも多いことだろう。だが国際社会は それとは逆の方向へと動いている。やがて外交や政治も「国も国境もなくす」そんな経済原理へあわさざるを得なくなる時代がやって来るに違いない。