世界から望まれる 日本のはじめての自立

神奈川の海軍横須賀基地を拠点とする米空母「ジョージ・ワシントン」と「ジョン・C・ステニス」を中心とする部隊が西太平洋上に展開し始めた。この地域で、2個以上の空母部隊が合同で任務に当たるケースは珍しく、ここからも米国の中国に対する懸念の強さがうかがわれる。こういった事態を受けて、尖閣諸島周辺海域で、領海侵入を繰り返していた中国海洋監視船群も、昨日午後には さっさと領海の外へと出ていったが、今後は、この米軍の本気度を知ったうえでも、再度 中国側の領海侵犯行為がおこなわれるかどうかが注目される。

こうなるのは当たり前といえばそのとおりで、中国は領海侵犯ばかりでなく、同諸島北方海域には海軍のフリゲート艦2隻も展開しているのだ。これでは明確な軍事威嚇と受け取られても仕方ない。そして先月には「遼寧」と命名した同国初の空母を正式に就役させ、内外に軍事力を大きくアピール。まさに ここからやる気満々で「周辺諸国の領土侵犯をしていきますよ」と言わんばかりである。かつて中国は、1996年にも台湾の海峡付近で軍事演習を行い、米軍の空母「インディペンデンス」と「ニミッツ」の2隻に牽制された経緯がある。しかし、その後も台湾に関する 領土発言を収めてはいない。おそらく これは日本に対しても同様であろう。

それにしても 欧米各国の論調を見るかぎり、もはや中国は「ならず者」扱いである。海外からの投資も減り始めているし、経済成長率も頭打ちになりつつある。いま懸念されるのは、経済低迷に准じて起こる 中国国内における統治能力の低下であろう。米国議会の見方でも、やはり そのあたりが警戒されている。もちろん 中国経済の衰退は世界経済へ大打撃を与える。さりとて意図的な中国のサイバーテロや度重なる洋上での覇権拡張行為を見過ごせば、やがては各国の輸送航路にも影響が出てくるのは必至だ。世界にとって、この辺は本当に頭の痛いところであろう。米国もバランスをみながら、押したり引いたりと大変である。日本にとって、これまで勃発した国際紛争はすべて対岸の火事であった(戦後直後以来) しかし今回はまさしく当事者である。夢みたいな平和への幻想へ浸っていられるのもここまでだろう。いま世界中から迫られているのは、政治・経済・外交・安保などにおいて これまで一度も独り立ちしたことのない日本の「初めての自立」だ。今度ばかりは否が応でも巻き込まれるだろうから逃れられないと思われる。