米下院 - 中国大手の通信機器は危険 

米下院情報特別委員会は先ごろ、中国の華為技術Huawei)と中興通訊(ZTE)製のルーター、スイッチ等の電子機器が「中国政府のスパイ行為やサイバー戦争に利用される可能性がある」として、購入等を避けるべきとの報告書を発表した。これは この2社を1年に渡って調査した結果に基づくものとされていて、華為技術Huawei)には、他社の「知的所有権を軽視する姿勢」が見られる。中興通訊(ZTE)には 同社が販売する「Android」搭載スマートフォンに、バックドアが仕掛けられているとの指摘もあり、結論としては、米国の機密を扱う あらゆるネットワークへのアクセス機器に【2社の製品を使用すべきではない】【2社による米国企業の買収を禁じる】必要がある。とも記載されている。

このバックドアは、使い方によっては セキュリティ上の脅威となりうるもので、データを盗んだり、通信に対してスパイ行為を行ったりできる代物だが、これに関しては米国側の矛盾もある。なぜなら、94年に可決された連邦法の通信援助法では「米国のあらゆる電気通信に対して、必要なら捜査当局が盗聴できるようにする」と記載されているからだ。つまり、中国だけでなく、米各社のネットワークにも FBIの通信傍受機器があらかじめ接続されている可能性があるというわけ。もちろん、PCの操作がわからず、購入先メーカーのカスタマーセンターへ助けを求めた経験のある方なら承知だろうが、日本国内でも、メーカーによるパソコンの遠隔操作はいつでも可能な状況になっているのだ。

ならば、なぜ 中国製だけが問題視されるのか? この矛盾に対しては、華為技術Huawei)の本社内部に、中国政府のオフィスが存在する事例が挙げられている。要するに、両社の経営には 中国政府の深い関与が指摘されていて、それが政治的に利用される危惧があるということだ。他にも米政府は2011年に、同社の中国人民解放軍との不透明な関係を理由に、華為技術による3Leaf Systems社の買収を却下しているし、同様に オーストラリア政府も、今年に入ってから、華為技術人民解放軍によるサイバー攻撃との関係を指摘し、国内のブロードバンド・ネットワークへの入札参加を拒否した事例がある。まとめると、こういった機能は どこの国のIT関連機器にもついているけれど、中国政府と直接関係してるところが そんな事をするのは容認できないということだ。もっと簡単に言えば、間接的に中国企業は信用できないと宣言しているのと同じである。

米国が 最近になって、華為技術Huawei)と中興通訊(ZTE)を名指しで批判したり、米国内で展開していた 中国の風力発電施設を強制排除した経緯などを見るにつけ、その背景にある 米国の本気度が伺える。かねてから、このような記事は 日本では一部メディアしか書かないが、そこには 中国との報道規定をやみくもに守ったり、スポンサーに中国資本が入っていたら 自社の利益保全のために情報を流さないといった 国内メディアの自己保身体質が見え隠れする。しかし、それでは 日本企業やその他の個人が、世界経済の流れに乗り遅れる事態にもなりかねない。米中関係は いま最も注目すべきところだが、今後は米国のこのような流れに 他の国がどれほど同調するかであろう。この動向は 今後の日本に、経済のみならず、安保の面でも大きな影響を与える。にも関わらず、その最も左右されるであろう当事者が、そういった情報を何も知らない・流さない というのはいかがなものか。いずれにしろ、現在、世界経済が大きな転換期を迎えていることだけは間違いなさそうである。