中央自動車道 笹子トンネルで崩落事故

中央自動車道 笹子トンネルで崩落事故が起き、多数の死傷者が出ているが、ここで二点の疑問を呈したいと思う。

皆さんも覚えていらっしゃると思うが、3.11の震災時にも、多くの建物で「こういった つり天井の崩落事故」が起きていた。まさしく 今回の事故現場の天井と、震災時に落下した天井の構造は まったく同じなのである。もちろん両者ともに 下へかかる荷重に対しては「その重みに十分耐えうる設計」が施されていたはずだ。しかし「地震時の横振れや各種部品の老築化、トンネン内の水漏れによる接地面の侵食など」こういった想定外の負荷まで考慮されているとはとても思えない。ただ、筆者のような建築のプロからすれば、そういった不測の事態に対してまで 完璧に対処できる構造物などあり得ないといった見方もできるわけだ。なぜなら、津波の防護壁と同様に、どこかで区切りを設けなければ、コスト面や工期・手間に際限がなくなってしまうからである。よって むしろ今回注目すべきは、天井をつり金具という【点】で支える その構造的欠陥についてだ。要するに『点で吊る』という事は『その点が何らかの要因で離れたら、即時 落下する事態を招く』わけで、そのような「不測の事態=大惨事に直結する」ような設計は今後一切やめることだし、現在 そのような施工がされている箇所は随時『点で支える構造を面で支える施工』に変えていくべきなのだろう。 

二点目は ちょっと専門的になるが、さらに今回の事故現場では、その『天井の重みのすべてを点で支える つり金具』を固定していたのが【アンカーボルトだった】という下りである。それでも計算上、接着剤を使えば、天井の荷重は支えられる計算になる。しかし 後施工で穴をあけ、中で開いて支える構造のアンカー施工では 接地面の引っかかりが弱いことは否めない。なぜ、最初からボルトを構造体に埋め込んでおかなかったのだろう? あとから排気口が必要と判断したのだろうか? それともご多分に漏れず トンネル躯体の納入業者とその他の建築業者の利権構造によって あえてそうした施工にしたものなのか? いずれにしろ、現代の建築施工のノウハウからは、これほど重量があるコンクリート板をアンカーボルト工法で支えるなんて考えられないわけだ。今後はそういった設計上、施工上の問題も疑問視されてくるだろうが、おそろく 例によって その辺はうやむやにされて、今後も解明されないまま記憶の彼方に消え去ると推測される。都合の悪い部分とは、いつの時代のどういった事象においても そういったものなのかもしれない。

中日本高速道路が発表した 同様の天井板が設置されているトンネルは以下の通りだ。

東日本高速道路】(1)圏央道 菅生トンネル(東京都)
中日本高速道路】(2)中央道 笹子トンネル(山梨県) (3)中央道 恵那山トンネル(長野−岐阜県)(4)東名高速 都夫良野トンネル(神奈川県)(5)新東名高速 富士川トンネル(静岡県)
西日本高速道路】(6)第2京阪道 京田辺トンネル(京都府)(7)第2京阪道 長尾東トンネル(大阪府)(8)第2京阪道 長尾台トンネル(同)(9)山陽道 志和トンネル(広島県)(10)山陽道 安芸トンネル(同)(11)山陽道 武田山トンネル(同)(12)国道2号 関門トンネル(山口−福岡県)