トップの資質と産業競争力会議

政府が 安倍晋三首相を議長とする『産業競争力会議』をスタートさせた。この会議の主な目的は、安倍政権がデフレ脱却のために掲げる「3本の矢」の中のひとつである成長戦略を、6月をめどに策定することにある。

メンバーには、安倍総理の他に、麻生副総理財務相、茂木経済産業相などの関係閣僚と、竹中平蔵 慶応大教授・武田薬品工業 長谷川社長・みずほフィナンシャルグループ 佐藤社長・楽天 三木谷会長兼社長など 民間議員10人の錚々たる方々が参加しているが、これについてテレビ番組内で 竹中平蔵氏がコメントした内容に感動した部分があったので記載しておく。

竹中氏は産業競争力会議のメンバー入りを打診された際に、その是非を小泉元首相に相談したそうだ。なぜなら、会議の決定を採決して実行にうつすのは政府の役目だが、自民党のみならず、野党の中にも竹中氏を嫌っている人は多い。よって 自分がメンバーへ入ることで会議に支障が出るのではないか?との懸念があったからだ。そこで小泉氏が何と答えたか・・・「そんなことは気にするな。君の役目は会議で決めた事が採決されようがされまいが、大いに国のために正論を吐くことだ」と進言したのである。

「大いに正論を吐けばいい」 さすがである。もし自分が彼の部下なら、これはたまらない一言だ。その中にあらゆる意味が含まれている。だから小泉氏のもとでは、みんな思い切ったことが出来たのであろう。どんなにつらい立場に置かれようが、トップの一言・・・部下はそれだけで報われ救われるものだ。こういった哲学があり、資質もある人物が少なくなった昨今、自分は恵まれてきたと感じざるを得ない。自らが関わったリーダーは本当に素晴らしい方たちばかりだった。才能や実力を発揮してもらえるかどうかは、トップのあり方次第で決まる。その一言にどれだけの思いを込められるか・・・経営者は少し考えさせられる出来事ではなかろうか。