ずっと揺れっぱなしの日光出張記

久しぶりの出張から帰ってきた。行き先は日光である。
みなさんご承知のようにずいぶん揺れた。

地震研究もしてるので、今日あたりM5〜6が来ることは十分把握していたが・・・まさか、今いるところがピンポイントで震源になるなんて予想もしていなかった。正確には 山を一つ隔てた場所にいたのだが、それでも震源地からは目と鼻の先である。午後4時半ごろ、縦に突き上げ 次に横への振動があった。時間的には短く、おそらく体感によると震度3〜4くらいだったろう。TVをつけるとM6.2で 震度は5強、緊急地震速報も出されていた。

震源に近かったのに それほど恐怖はなかったし、他の宿泊客も落ち着いた様子だったので不思議に思い、いろいろ考察してみた。「岩盤の上に建つホテルだったから振動が伝わりにくかったのか?」「けっこう大きな建物だから揺れが少なかったのでは?」「火山性地震だから震源地真上のごく限られた地域だけが激しく揺れたのかも?」 根っからの研究者体質なので、あちこち見て回りながら考えていたのだが、その後がたいへんだった。とにかく揺れること・・・夜眠る時も、少しウトウトするとドスンときて目が覚める。あまりに回数が多いので、開き直って 一晩中起きていたくらいだ。 

帰りの電車に乗ると どこかホッとしたのだが、今回いろいろなことに気づかせてもらった。東北では福島もはじめ 震災以来、依然として揺れまくっている地域がある。それを研究する身としては『どこか他人事のように感じていたのではないか』 機械的・数学的に客観視しながら、リアルさにも欠けていたようにも思う。自分には帰る場所があるが、この温泉街の人々は ずっとここにいるのだ。そういえば、昇りの電車を待つ間、売店のおばちゃんが地元の方と 「あんたのところはたいへんだったみたいね。こっちはそれほどでもなかったよ。」という会話をしていた。それを聞いて「やはり局地的に激しく揺れたみたいだ」と、目の前の雪が残る山をみながら妙に納得できた次第だ。ときにはデータであれこれ考えるより、人が感じるリアルな現実にこそ真実はあるものだ。そう改めて気づかされてもいた。

いずれにしろ、大自然の前では 人間なんて いかにもちっぽけだが、自然とともに暮らすなら、やはりそれを知りたいという欲求に駆られるのが心情である。その理由はきっと、人もまた 自然の産物に他ならないからかもしれない。そんなことをボンヤリと想いながら窓の外を眺めていると、寝不足から東京に着くまでいつのまにか熟睡していた。到着すれば またすぐ次の仕事が待っている・・・日常に追われるのもまた幸せなことなんだろう。人は経験によって現実を直視すると同時に、また あらゆることを忘れていく生き物でもあるのだから。