仕事とはその職をなくすためにある

「戦場カメラマンの願いは失業すること」

これは戦地で取材中に亡くなった写真家 ロバート・キャパ氏の名言だ。

彼からすれば『自らの失業は戦争がなくなる事を意味する』が、それは何も戦場カメラマンにかぎった願いではない。【病がなくなれば医師は職を失うし、みなが自立したらコンサルタントもいらなくなる】よって道義的には『すべての職は本来なくすためにある』といっても過言じゃないわけだ。

まもなく企業オーナーを全部引退するが、これってずっと望んできた喜ばしいことである。複数企業の社長を辞任したり クライアント先の顧問職をみんなやめてしまった時もそうだったが『やめられる』という事は、社員や関係者たちが立派に成長した証であり、経済人としては これ以外望むべきもない! のが本筋にも思える。

十代の頃からずっとやってきた経済活動に関しては、ある程度やり切った感ができたから、もうこれで完全に終了だ。ただし大きな意味で、まだ “世の中にはなくさねばならない職がたくさんある” つまり「やるべき事がいっぱいあるので経済ばかりはやってられない」というのが本音なのだ。

哲学や美学はそれぞれで異なるので何が良くて尊いかはやってみなければわからない。けれど豊かな人生を歩むための努力だけは惜しまないつもりだ。人はつねに最良の道を選ぶ賢明さが持てるよう、懸命に生きねばならない。何事につけても、それは一つの事が終わり、また次が始まるだけなのだから。