製薬会社が医師・医療機関に年間4827億円を提供

「国内の動きだけでは何も是正できない」 そんな自浄作用が皆無とも言える  “日本型体質の悪癖”が、またひとつ浮き彫りとなった。

以前から日米ともに『製薬業界と医学界には癒着と便宜供与が横行している』との疑惑もあったわけだが、米国で2012年に「医学界のお金の流れを明らかにすることを義務づける “サンシャイン条項”」が施行されたのを機に、日本もそれに従わざるを得ない状況が出てきていたのだ。そこである意味仕方なく公開されたのが、今回の『製薬会社から医師および医療機関に流れた資金提供額の全容』である。

業界団体「日本製薬工業協会」に加盟する72社が、12年度に医師や医療機関に提供した資金の総額はなんと・・・4827億円。これは国から支給される研究開発関連予算1955億円の2.5倍にものぼる破格の金額だ。その内訳は ●新薬開発のための臨床試験費用など研究・開発費2471億円 ●研究室への奨学寄付金346億円 ●学会への寄付金など学術研究助成費194億円 ●医師個人への講師謝礼や原稿執筆料など270億円 ●医師を集めての講演会や説明会の開催費など情報提供関連費1428億円 ●接遇費など115億円 となり、いかに医学の内幕が金・金・金だったかが白日の下にさらされた形である。

90年代の香川医大病院と名古屋大医学部教授の金品授受に始まり、抗がん剤イレッサ」やインフルエンザ薬「タミフル」の承認審査に対する便宜供与、降圧剤バルサルタンの臨床試験疑惑と「薬とカネ」に関する問題は後を絶たなかったが、そんなのは氷山の一角に過ぎなかった。普通に考えれば「奨学寄付金」など、誰がどう考えても「ひも付き資金であり実質的には賄賂にあたる」が、そんなのが346億円もあるなんて、国際的には絶対に認められない話だろう。

今回の件で、製薬業界と医学界は長く続いてきた蜜月関係の慣行を見直さねばならなくなったが、これで医師たちの副収入はガタ落ちとなり、ますます うま味のなくなった医師には今後成り手が少なることも予想される。もちろん医師不足を殊更に報道させたのも、ここに対する付箋だったのは想像に難くはないが・・・こういった日本の悪習は、いまだ官民問わずに至る所で蔓延してるのが現状だ。ただ、おそらくそれらが見直されるのも日本国内の動きだけでは不可能と思われる。やはり海外、とくに米国からの圧力によって、しぶしぶ是正さぜるを得ないのは今も昔も変わらない「日本型 既得権益業界の体質」と言えるのではなかろうか。