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これからの本当の仕事とは?

春先から根を詰めてあたってきた仕事も終了し、少し夏休みを・・と予定してたが、また新しい仕事が持ち上がり、これも消滅。今後も忙しい毎日が到来する運びとなった。若いときはがむしゃらだったが、最近は「仕事とは何か?」について考える機会が増え、それも自分らしい本当の仕事とはいったい? との試行錯誤を繰り返す日々だが、ここについては同じような経験をしていらっしゃる方も多いのではなかろうか。そこで今回は、これに関してヒントとなるような あるエピソードを紹介したいと思う。

大型医療用画像装置の設計をしていた ある人物は、小児患者が【自分の作ったMRI検査を受ける際】8割以上が鎮静剤を使用せねばならない現実をみて愕然となった。これはMRIが、中で人が動くと画像が乱れる宿命に由来する。だから人は、誰もが「健康のためには仕方ないだろう」としてたのかもしれない。けれど、彼はその現実を受け入れず諦めもしなかった。なんと、医療とはいっけん無関係に思える《デザイン思考に関する学び》を通じて「この子供たちにとっての最悪の経験を、最良の冒険へと転換」し、見事、難問を解決してしまったのである。

MRIが置かれた部屋と装置いっぱいに絵を書き、さらにオペレーターまでも “子供をよく知る 子供博物館の職員” に手ほどきを受けさせ、事前にMRIの騒音や振動を船になぞらえた上で「さぁみんな、これから海賊船に乗るからね。海賊に見つからないようにじっとしていてよ。」とアナウンスを行ったのだ。結果は劇的に変化し、鎮静剤が必要な子供は1割にまで減少。何度も麻酔医を呼ぶ必要がなく、効率アップがはかれた病院側も大喜びだ。

しかし、当の本人はあまりそのようなことに関心がない。彼が気にかけていたのは、そんな数字やそろばん勘定ではなく、もっと質的現実面なのだ。現場に出向いた彼は、女の子がスキャンから出てくるのを母親と一緒に待っていたが、出てきた女の子が母親に駆け寄り「ママ 明日もここに来ていいよね?」と言った時に、やっと初めて最初の呪縛から解放された気分になり、このエピソードを他に語る時には涙ぐんでもいるそうである。

昨今のIT・ロボットほかの発展には目をみはるものがある。もはやルーティンは人の手を必要としないのかもしれない。けれど、こういったデザインやエンターティメントは人間にしかできない分野にも思える。それはなぜか? 機械には、上記のような人の思いが込められないからだ。本当の仕事も時代とともに変わりゆく。しかし変わらないのは、より楽しく面白く・・負の財産や仕方ない! を容認しないことではなかろうか。人間はロボットではない。論理的な割り切りや四角四面の知識に縛られず、もっと自由な発想による自由な生き方に終始すべきで・・それがひいては、本当の仕事へとつながるような気がしてならないのだが。